いじめ防止対策推進法 第2条
この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人間関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校 、 中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう
しない・させない・見のがさない
・すべての児童が安心・安全な学校生活を送れること。
・すべての児童がルールやマナーを守り、規則正しい態度で行動できること。
・すべての児童が授業や行事に、主体的に参加し活躍できること。
本校は、小人数規模の学校であり、全校児童は46名で、全児童が互いの顔や名前を知り合っている関係である。遊びの中でも、自然と違った学年でも交流し集団ができている。毎週水曜日の昼休みには「全校遊び」の時間を設け、児童会が中心となり異年齢集団のさらなる交流を図っている。
本校では、「好き」「続ける」「考える」の意識を育て、伝統文化教育を核にした道徳性を高める取組により、相手を思いやる気持ちや、自ら考えて行動する子どもが育ってきている。ただ、互いによく知っている関係からか言葉遣いに気になる面がある。子ども自身の振り返りからも、言葉遣いに対しては、よく思っていない面がある。
そこで、日常的な言葉遣いを意識するとともに、子どもの自尊感情、自己肯定感を高める取組を推進するために、3つの意識を全教育課程で大事にし、いじめのない温かい集団づくり、学校づくりに努めている。
【3つの意識を育てる】
@「好き」意識
「好きこそものの上手なれ」のことわざが脳科学で解明されたことを受け、本校では「好きの意識」を学力向上、体力向 上のための方策に取り入れてきた。さらに「人を好きになる。」ことを道徳・交流活動などを通じて児童に意識させている。
A「ほんものは続く 続けるとほんものになる」意識
「続ける」意識で取り組むのと、「中途半端」に取り組むのでは、結果に大きな差が生まれる。学力・体力面では、これまでの取組をみても成果が表れてきている。人間関係の構築、特別活動の取り組みなどを通して、「続ける」意識を児童 につけ、達成感、自尊心の向上につなげ、「自信」に裏付けされた人との関わりを学ばせていく。
B「考える」意識
以前より「今、何をすればよいか」を考えることで、児童自身の取組の中に「STPDサイクル」を意識づけてきた。運動会で、「気をつけ、前にならえ。」の号令無しに「自分ならここに」と言う意識で並んでいる。つまり「自分の行動も周囲の人と合わす」にはどうしたらよいかを考えられるようになっている。この「考える」力を人との関わりの中に生かしていく。「人をいじめてはいけません。」の指導から、「周囲の人が喜ぶにはどうしたいいか。」を考え、相手の身になった行動ができる子を育てる。
いじめの未然防止に向けた取組
・一人ひとりの居場所づくり
・自尊感情の高揚
・自己判断力の育成
教職員の資質・指導力向上
@風通しのよい職員集団で、全職員で全児童を見て情報交換をする。(職員打ち合わせ、子どもを語る会、気づいたときすぐに。)
A学期1回(年3回)養護教諭と担任による教育相談→担任との連携・相談
事前にアンケートを実施し、個別に相談を実施。いじめ、体罰、虐待、不登校等
B子どもに、3つの意識を身につけさせる。
C学級作り、早期発見、人権意識・人権感覚を高める等の研修をする。
D「いじめ」事象が発見したら、素早い組織対応をする。
E加害・被害児童によりそう支援をするとともに、その他児童へも指導にあたる。
保護者への働きかけ
@何でも話せる親子関係の構築(家族間のオアシス等)
・日頃から話を聴く機会をつくる。
・子どもの言葉にうなずきながら耳を傾ける。話を最後まで聴く。
・悩みを共感したり、必要に応じてアドバイスする。
・いじめの兆しを見逃さない。
A一緒に活動することでの信頼関係の構築(ラブリィ・ブックデー等)
・家族みんなが規則正しい生活、早寝、早起き、朝ごはんに心がける。
・テレビを見る時間を減らし、一緒に読書する時間を作る。
B研修会・講演会の開催(人権意識の向上)
・PTA総会で、いじめの定義や学校の対応を説明し、いじめ防止を啓発する。
・保護者全体でいじめをなくす機運を高める。
・保護者同士が連携に努め、みんなで子どもを育てる機運を高める。
地域との連携(伊香具子どもの活動支援会議、伊香具学区地域づくり協議会等)
※地域のみんなで子どもを見守り、育てる
@異世代交流事業(よっといデー、交流大会等)
・行事に参加する子供の様子を把握するとともに、いじめの兆しを見つけたりする。
A登下校時の見守りとふれあい あいさつや感謝の気持ちを大切にする。
・子どもの名前を呼びながらあいさつをする。
・間違った行動や言動は、その場で注意する。
B学習支援ボランティアの活用→地域の歴史の話 昔話等
C図書ボランティア 絵本の読み聞かせ、カルタづくり、大型百人一首の実施
Dあたたかい心ふれあう会や学習参観等へ、地域の人の参加を呼びかける。
E関係機関との連携(学警補導連協、育成会議等)
◆事情の聴取
・原則2人体制でする。児童の事情にも配慮する。
・被害者、まわりにいた者、加害者の順に聞く。
・話しやすい人が対応する。
・人目につかない場所や聞き取り時間に配慮する。
・関係者がいる場合は、別々に聴取する。複数の教員で対応する。
・情報を提供した児童の秘密を厳守する。
・聴取を終えた後は、保護者に直接説明する。
※してはいけないこと
・加害者と被害者の話を同じ場で聞くこと。
・加害者に注意、叱責、謝罪で終わらすこと。
・当事者同士の話し合いで終わらせること。
【被害者への指導】
○事実の確認
・いかなる理由があっても、いじめられた子どもの話を受け止め、守り通すことを約束する。
・担任等、話しやすい教員が対応する。
・いじめを受けたつらさに共感しながら、事実を聴く。
○支援
・時間や場を確保し、じっくりと話を聞き安心感を与える。
・いじめは絶対に許さないこと、今後の指導等について話す。
・加害者とのつきあい方、接し方等について具体的に指導する。
・「あなたにも原因がある」「がんばれ」などとは決して言わない。
【加害者への指導】
○事実の確認
・いじめを行った背景を理解しつつ、行った行為には毅然と指導する。
・自分のした行為について、振り返り内省させる。
・孤独感や疎外感を持たないよう配慮する。
○支援
・他者の痛みに共感できるよう継続して指導する。
・いじめをしたことの立場を振り返らせ、今後の行動について考えさせる。
・本人の不満やストレス等満たされていない気持ちを聴き、いじめに向かない力を育む。
・いじめの状況により出席停止の措置をとることも必要
【傍観者やまわりの児童への指導】
○事実の確認
・学年、学校の問題として対応する。
・いじめを伝えることは、友達の人権と命を守ることであることを指導する。
・いじめを伝えたことによっていじめを受けるおそれのある児童を守り通すことを話す。
○指導
・はやしたてた者も傍観者も問題の関係者であることを指導する。
・止めることはできなくても、知らせる勇気を持つことを伝える。
・いじめを受けた児童のつらい気持ちを考え、これからどのような行動をとればいいか考えさせる。
・いじめを許さない集団づくりに向けた話し合いを進める。
<保護者との連携>
○被害児童の保護者との連携
・事実が明らかになった時点で、家庭訪問を行い事実を伝える。
・徹底して守り、支援していくことを伝える。
・保護者から児童の様子について聴く。
・経過と観察する方法を伝え、理解と協力を得る。
・プライバシーを保護する。
※してはいけないこと
・「お子さんにも問題があるからいじめられる」などの誤った発言をすること。
・電話で対応すること
○加害児童の保護者との連携
・事情聴取したことを、家庭訪問を行い事実の経過とともに伝える。
・被害者の状況を伝え、いじめの深刻さを認識してもらう。
・今後の指導に対する理解を求める。
・対応を批判したりする保護者には、あらためて事実の確認と指導方針を示し、理解を求める。
関係機関との連携
○いじめの報告、対応方針、解決方法、児童・保護者への対応等の相談
→教育委員会、家庭児童相談室(子育て支援課)
○いじめによる暴行、傷害事件、恐喝等の事件が発生
→警察、青少年センター、児童相談所
○いじめを受けた児童が心身の外傷を負っている。
1 →教育センター、医療機関
ネット上のいじめへの対応
○教職員の対応
・携帯・スマートフォンを、学校へ持ってくることを原則禁止とする。
・情報モラルの指導計画のもと、各学年に応じた指導を行う。
・ラインを使った誹謗中傷や仲間外し、画像等の個人情報の掲載等の実態を把握する。
・情報化社会でのルール・マナーについて考えさせたり、誹謗中傷やいじめは人権侵害であることを理解させたりする指導をする。
■悪質な書き込みは、犯罪行為。(犯罪になる可能性のある事例) |
・家の人とルール(使う時間や場所、方法等)を決め、約束を守って使用する。
・児童や保護者に携帯電話やスマートフォンの危険性を知らせ、フィルタリングサービス利用の徹底やライン等の適切な利用等を働きかける研修会をもつ。
・SNSやメール等で知り得た内容(情報)だけで判断をしない。
○保護者の対応
・子どもに携帯電話・スマートフォン等を与える前に、本当に必要なものかどうかよく検討する
・子どもに使わせる場合は、保護者の責任において管理する。
・ライン等を使った誹謗中傷や仲間外し、不適切画像の掲載など、様々な問題に巻きまれ被害者や加害者にもなっている現実や「ネット依存」や「不健全な人間関係」等の弊害も生じていることを理解する。
・子どもの様子を把握し、気になることを学校に相談するよう働きかける。被害等深刻な場合は、警察や消費者窓口に相談する。
・家族で「公共のマナー」「権利と責任」「危険回避」の仕方等について話し合う。
■保護者の努力義務 |
◆児童が被害を受けたときの対応
@正確な事実を確認する。
・書き込み内容を保存する。
・加害者を特定する場合は、「なりすましメール」もあるので、十分配慮する。
A関係機関等の連携・被害の拡大防止
・書き込みや画像等の削除
・脅迫や重篤な名誉毀損等については、警察署の生活安全課や法務局人権擁護課等に相談する。
<重大事態への対応>
(1)事実関係を明確にするための調査の実施
@「いじめ防止対策委員会」でいじめの疑いに関する情報の収集、記録、共有
情報を整理し、いじめの事実の確認を行う
◆「生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑い」
・児童が自殺を企画した場合
・心身に重大な障害を負った場合
・金品等に重大な被害を被った場合
・精神性の疾患を発症した場合 等
◆「相当の期間学校を欠席を余儀なくされている疑い」(年間30日を目安)
◆一定期間連続して欠席している場合
※児童や保護者から重大事態に至ったという申し出があったときは、報告・調査等に当たる。
A調査を行うときは、児童及び保護者に、必要な情報を適切に提供する。
(2)重大事態の発生の報告
@設置者に重大事態の発生を報告:教育委員会教育指導課 65−8605
A設置書を通して市長に報告
(3)重大事態の調査組織を設置
@いじめ対策防止委員会に、専門的知識及び経験を有する、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別な関係を有しない第3者の参加。
Aいじめ行為の事実関係を可能な限り、網羅的に明確にする。客観的な事実関係の調査
B関係機関との連携:警察・児童相談所・医療機関・市青少年センター
(4)いじめを受けた児童及びその保護者に適切な情報の提供
@調査により明らかになった事実について、適時・適切な方法で経過の報告。
A関係者の個人情報に十分配慮が必要。ただし個人情報保護を楯に説明を怠うようなことがあってはてはならない。
B児童・保護者へのアンケートは、調査前に被害者に提供することがあることを説明する。
(5)調査結果の報告
@調査結果の報告をいじめを受けた児童や保護者が希望する場合は、いじめを受けた児童または保護者の所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果に添える。
(1)いじめ防止対策委員会の組織
@構成員
A運営・内容
・学期に1回の開催
・いじめ対策の検討、調査等の実施・結果分析、ケースの検討、記録の集積
・校内研修、各部会の取組の推進
(2)いじめ防止・対策委員会の役割
@学校の基本方針に基づく未然防止の取組などの実施と進捗状況の確認
・進捗状況を把握し、必要に応じて支援・助言する。
・取組の実施中の様子の記録や実施後の振り返り状況について助言・支援する。
A教職員の共通理解と意識啓発
・学校基本方針を教職員へ説明し、取組を確認する。
・「評価アンケート」の分析を全教職員で行う。
B児童や保護者・地域に対する情報発信、意識啓発、意見聴取
・学校基本方針を説明し理解を得る。
・ホームページで公開する。
・取組の状況や「評価アンケート」の結果をふまえた取組を情報発信する。
C個別相談や相談事例の集約
・面談が予定通り実施されているか進捗状況の把握
・相談事例の把握 → 委員会で取り上げる場合は組織の招集。
Dいじめやいじめの疑われる行為を発見した場合の集約
・児童の変化に関するメモ等の集約・整理
・組織で取り組んだほうがよい事案は、招集する。
E発見された重大ないじめ事案への対応
・招集された委員会で、事実の確認、対応を決めて実行する。全職員にも情報の提供。
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